ADOC TECH BLOG
2025-02-19
- ADOC インターナショナル
- ブログ
- インフラ管理をもっとスマートに:IaCの課題とTorqueによる革新
インフラ管理をもっとスマートに:IaCの課題とTorqueによる革新
はじめに
DXやAI、それにまつわる製品など、新しい技術適用に関わる分野での検証や調査などに携わっている荻原です。
現代のITインフラ構成は複雑なネットワークの要求を満たすため、常に分散化やモジュール化が進行しています。これに伴い、Infrastructure as Code (IaC) はクラウド開発のプロセスをより完成度の高いものにする重要な技術として進化してきました。クラウド環境でのインフラの構築や管理を自動化するIaCの広まりは、ビジネス・テクノロジーの方式を大きく変えたと言えます。
しかし、IaCの運用には高い利便性だけでなく、複雑さや管理課題も実際に発生します。特に日本市場においてはクラウド利用の普及とともにIaCの導入ニーズが高まりつつあります。今回は、IaCを運用するメリット、そしてその貴重な解決策として期待されるIaC運用管理 効率化ツール「Torque(トルク)」について解説します。
IaC の運用によるメリット
IaCの実践は一般的にシステム開発や運用において迅速な環境構築を可能にし、企業の意思決定のスピードと生産能力を大幅に向上させます。その主要な利点は次の通りです。- モジュール化やデバイス化
IaCの導入により、インフラ構成をモジュール化し、同じ構成要素の重複を回避することが可能になります。 - 安全性の向上
IaCモジュールのロールベースのアクセス制御(RBAC)管理により、コードの不適切な変更によるリスクを回避できます。 - アジリティの向上
コードをモジュール単位で変更することで、コード変更の範囲が限定され、問題発生時の影響範囲を正確に把握でき、問題の見逃しを減らすことができます。また、変更点のテストやレビューが簡素化され、迅速な修正と展開が可能になります。 - マイクロサービス開発との親和性
マイクロサービスは、規模が小さなサービスを組み合わせて一つの大きなアプリケーションを開発する手法です。IaCによりモジュール化されたインフラ構成のテンプレートを使うことで、一貫性のある構成が可能になります。たとえば、開発チームが各サービスごとに標準化された構成テンプレートを利用することで、異なるサービス間での整合性を確保できます。また、テンプレート化により、繰り返し利用可能な構成が増え、初期設定の時間短縮とエラー防止につながります。 - コスト効率の改善
日本企業特有の厳格な予算管理にも対応可能であり、クラウド資源の最適化を支援します。
IaC 運用の問題点
しかし、IaCの運用には活用が進むにつれて、複雑な問題も発生します。下記はその一例です。- 資産の肥大化、リポジトリの経験
モジュール化されたIaC資産は、数百件を超えることがあります。その管理には大きな効率化が求められます。 - マイクロサービス開発におけるIaC活用や管理の複雑化
マイクロサービス開発はIaCを活用することで一貫性のある構成が可能となる反面、適切な管理を行わないと構成差異(ドリフト)が発生しやすくなります。それを防ぐためには複数のサービス構成のばらつきをなくし、一元的に標準化された状態を維持管理する必要がありますが、そのための工数や運用の複雑さが増大し、ヒューマンエラーや生産効率低下につながるリスクがあります。 - 多様なプラットフォーム対応の難しさ
日本の市場ではAWS、Azure、GCPといったマルチクラウド対応が求められることが多く、それぞれのIaC管理が煩雑化します。
Torque による解決
Torqueはインフラ管理を効率化するために設計された環境管理ツールです。具体的には、クラウドインフラストラクチャ、アプリケーション、およびそれに関連する依存関係を包括的に管理するためのプラットフォームを提供します。IaCツール(Terraform、Helm、AWS CloudFormationなど)やGitOpsの考え方を活用し、環境の構築、更新、変更、削除を自動化し、効率的かつ安全に実行できます。また、Blueprintを基盤とすることで、開発者は直感的な操作が可能となり、セキュリティやコスト管理のガードレールを提供します。Torqueが提供する具体的な解決策は以下の通りです。
- Blueprint によるプロセスの効率化
複数の IaC ファイルを組み合わせてテンプレート化し、変更内容をチェックして適用し、最終的な環境構築までのプロセスを効率化します。 - 運用を重視した管理機能
・環境としてのコード (Environment as Code)運用:
Blueprintを基盤に、標準的なワークフローを適用。変更が追跡され、組織のポリシーに基づいて頻繁に適用可能。・GitOpsのサポート:
Gitリポジトリの変更に基づいてBlueprintも即座に更新し、IaCコードとインフラやアプリケーション環境両方の一元管理が可能。・シークレット管理:
内蔵のパラメータストア、クレデンシャルストア、外部シークレットプロバイダーの使用により、安全で一貫した認証情報管理を実現。・自動シャットダウンとクリーンアップ:
環境終了時にクラウドリソースを自動的に削除することでコスト削減とセキュリティ向上を両立。 - 他ツールとの柔軟な連携
TorqueはCI/CDツールとも統合可能で、DevOpsの促進に貢献します。また、他の構成管理ツールとの相互運用性も高く、既存のシステムとの連携が容易です。 - 日本市場に特化した対応
・日本市場での厳格な規制や標準に対応したコンプライアンス機能。・マルチクラウド環境でのリソース効率化を実現することで、日本企業特有の分散型ITインフラに対応可能。・日本語でのドキュメントやサポート体制を整備し、国内企業の導入ハードルを低減。・他のIaC関連ツールの補完。
IaCの分野では、Terraform、AWS CloudFormation、Helm、Ansibleといったツールも広く使用されています。これらのツールはそれぞれ特化した機能を持っており、Torqueのような包括的なプラットフォームと組み合わせることで、より強力なIaC管理が可能になります。たとえば、Terraformによるインフラコード管理、Ansibleによる設定管理、Helmを用いたKubernetesデプロイなどをTorqueのBlueprintで一元管理することで、運用効率を飛躍的に向上させることができます。



<Torque紹介動画> ※開発元Quali社が管理・運営しているページに遷移します https://quali.hubs.vidyard.com/watch/HTaEN7SAtXmkHpkSzLJR3f?
終わりに
IaCの運用は企業のインフラ管理を劇的に効率化し、ITプロセスの透明性と一貫性を高める可能性を秘めています。しかし、その導入や運用には多くの課題が伴います。Torqueはこれらの課題に対して包括的な解決策を提供し、BlueprintやGitOpsのサポートなど、先進的な機能で運用の簡略化を実現します。あなたの企業のIaC運用を次のレベルに引き上げる準備は整っていますか?Torqueを活用して、より快適で効率的なIaC管理を実現してみてはいかがでしょうか。